任意売却のメリットと競売のデメリット
任意売却のメリット
競売よりも有利といわれる任売ですが、いったいどのような違いがあるのでしょうか。まずはそのメリットについてみていきましょう。
メリット1 競売のときよりも高く、市場相場に近い価格で処理できます
メリット2 高く売れるために、不動産の処分後に残る債務がより少なくなります
メリット3 債権者(金融機関・住宅金融支援機構など)に対して、競売のときよりも早期に、かつ、より多くの返済が可能となることにより、残った債務の返済について柔軟な対応をしてもらうことができます
メリット4 販売方法は一般の中古住宅や中古マンションと同じですから、住宅ローン破綻したことや債務に苦しんでいることを周囲に知られる心配がありません
メリット5 売却に必要な諸費用(抵当権抹消費用、司法書士報酬など)、仲介手数料、マンションにおける管理費・修繕積立金の滞納分などは債権者から“配分として”支払われるため、原則としてあなたの持ち出し負担はありません ※管理費や修繕積立金の滞納分についてはその金額の大きさによって取扱いが変わる場合があるほか、住民税や固定資産税など税金の滞納分については管轄する役所との話し合いによって取扱いが異なる場合もあります
メリット6 債権者より、引越し費用や当面の生活資金などで便宜を図ってもらえる場合があります
メリット7 購入者との交渉によって、住宅の明け渡し時期などについて柔軟な対応をしてもらえます
競売のデメリット
デメリット1 任意売却時と比べ、売却価格が20% ~ 40%低くなってしまうケースが多く、その分債務が残ってしまいます。
デメリット2 競売開始決定後にはその情報が公開されます。 情報は裁判所で閲覧することが可能となり、インターネットなどにも掲載されるため、近隣に知られる恐れがあります。 また、入札予定者が聞き込みを行う目的で、近隣を訪問することがあります。
デメリット3 落札され新たな所有者が現れた際には、速やかに物件を明け渡さなくてはなりません。また、転居先が見つかっていない場合でも、強制的に執行となります。尚、引越し費用等は基本的に全て本人負担となります。 立ち退き費用の交渉もご自分で行わないといけません。
デメリット4 競売にかかってしまわれた方々の中には、一番辛かったのが子供が近所でイジメに遭った、学校でイジメに遭ったと言われております。競売はご自分だけの問題ではなく家族全員に関わる大問題です。
デメリット5 裁判所からの執行官が来て室内の写真を撮られたり、誰が落札するのか、いつ退去すればいいのかわからなかったりといった、様々な不安要素があります。
競売価格と通常取引価格の実例
参考に、ほぼ同時期に同一マンションで取引された競売物件(落札事例)と通常取引物件の実例を紹介しましょう。専有面積はほぼ同じ、階数は違うのですが、通常取引のときのほうが高く売れているという一例です。任意売却の場合には、この通常取引価格に近い価格での処理が可能ですから、大きなメリットの一つとなります。
所 在 地 大阪市北区中津
種 別 マンション
専有面積 競売物件:約56㎡
通常物件:58.65㎡
築 年 平成12年
成 約 日
競売物件:平成22年4月末日(落札日)
通常物件:平成22年8月17日
売買価格
競売物件:1411万円(落札金額)
通常物件:1980万円
任意売却のデメリット
任売にも、デメリットがまったくないわけではありません。
デメリット1 いわゆる「ブラックリスト」にあなたの情報が記載されます。記載されるとはいっても、住宅ローンを3か月滞納した時点ですでにブラックリストへ記載されているのであり、任意売却をしたことによって新たに記載されるのではありません
デメリット2 競売のときには自ら行動しなくても勝手に進んでいきます(やがて追い出されます)が、任意売却はあなた自身から積極的に行動を起こすことが必要です
デメリット3 連帯債務者や連帯保証人に事情を説明して、事前に同意を得なければなりません競売になればもっと大きな迷惑をかけることになるのですから、同意を得ることの手間が任意売却のデメリットだとはいえないと思いますが…